マーケティングの成否は効果を計る指標で決まる。オンオフ統合マーケ時代の重要指標「指名検索」と「QRコード」をキャッチアップ

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    講師

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    テレビCMをフックに、オンラインとオフラインの両面から効果的なマーケティングを行い急成長を遂げた印刷サービス『ラクスル』と、その成功例をシステム化し、マーケティングの民主化に挑んでいる『ノバセル』を例に、オンオフ統合マーケティングを解説していく連載の第3弾は、ターゲットをオフライン広告からオンラインコンバージョンに導く実際の手法について話を進めていこうと思います。

    オンラインとオフラインを結ぶ2つの手法

    テレビを見ながら、気になった商品やサービス、キーワードをスマホで調べる。

    新しい行動習慣が定着した現在では、テレビCMなどのオフライン広告から、コンバージョンに直結するオンラインへの誘導をいかにスムーズにするのかが重要です。

    みなさんもいろいろ工夫されていると思いますが、ノバセル、ラクスルでは主に「指名検索」と「QRコード※」という2つの指標を用いてオフラインからオンラインコンバージョンへの誘導を行っています。

    フライドチキン=ケンタッキー「今日ケンタッキーしない?」が強い理由

    1つ目の指標である指名検索は、ラクスルが急激に業績を上げた最大の要因ともいえます。

    指名検索は、商品やサービスを具体的に指名して検索してもらうことで、ターゲットに提供する商品、サービスそれを売る場所を明確にし、効果的にオンラインコンバージョンにつなぐための指標になります。

    一例を挙げましょう。フライドチキンが食べたいとき、多くの人は「ケンタッキー」というキーワードを思い浮かべるのではないでしょうか。この状態が商品やサービス名と検索行動が一本の太い線でつながれている指名検索が得られている状態です。

    インターネットオークションをヤフオク、フリマアプリを利用することを「メルカリする」、インターネットで検索することを「ググる」というように、商品名、サービス内容がその言葉に置き換えられている状態ができていれば、競合他社の商品、サービスと比較されることなく、「1位指名」を受けている状態をつくることができます。

    新しい行動習慣が日常化し、マルチスクリーンが当たり前の現代では、指名検索の重要性は高まる一方です。

    ポスティングの広告効果を可視化するQRコード

    2つ目の指標が、二次元バーコードを使用したオンオフ統合マーケティングです。

    電子決済用でもおなじみのQRコードは、急速に私たちの生活の中に浸透してきたツールの一つです。ユーザーはスマートフォンでコードを読み取るだけで必要な情報を受け取ることができるため、チラシなどのオフライン広告からオンラインへの誘導を効果的に促すことができます。

    チラシのポスティングは、企業の販促担当者が重要視する広告施策ですが、「効果測定がしづらい」という思いを抱いている人も少なくないでしょう。完全なオフライン広告であるチラシのポスティングも、QRコードと組み合わせることでオンライン同様にCPA(顧客獲得単価)やインプレッション数を計測したり、チラシ内のどのコードが、どのタイミングで読み込まれたかなどの傾向データを商圏エリアごとに取得することができます。

    指名検索も、QRコードなどの二次元バーコードも、オフライン広告とユーザーの行動を決定づけるオンラインへの誘導を促す施策として効果的です。

    オンラインとオフラインをつなぐ“指標”の重要性

    ラクスルの知名度向上、ブランド力強化に絶大な威力を発揮した指名検索と、チラシというオフライン広告をオンラインコンバージョンにつなげる橋渡し役にするQRコードには、重要な共通点があります。

    それは、どちらもそれまで「なんとなく」しかわからなかったオフライン広告の効果をはっきりと視覚化してくれる指標になり得る点です。

    ノバセルでは、指名検索を用いてリアルタイムにテレビCMの効果分析を行う『ノバセル アナリティクス』というサービスを提供しています。

    『ノバセル アナリティクス』ではテレビCMの放映直後、リアルタイムで検索ワードを分析し、テレビCMによるサイト来訪者、コンバージョン数までを詳細に分析することができます。

    ノバセルアナリティクスで可視化できるデータは、「クリエイティブごと」、「番組枠ごと」、「エリアごと」の効果を切り分けることができるため、放映番組、時間、クリエイティブ制作に即反映することが可能です。

    図・ノバセル アナリティクスによる効果分析の例

    「チラシ印刷ならラクスル」というシンプルなメッセージを強く打ち出したラクスルが、運用型テレビCMで躍進を遂げた大きな要因の一つに、「広告効果測定の指標としての指名検索の優位性」が挙げられます。

    まず、ケンタッキーの例を見るまでもなく、「印刷」「ネット印刷」でもなく「ラクスル」をダイレクトに指名検索してもらえることで、コンバージョン率が飛躍的に高まります。

    マーケティング活動の効果を計る指標には、売り上げ、認知度、購買意向度、CPA、LTV(顧客生涯価値)、コンバージョン率などさまざまな指標がありますが、指名検索はこれらの指標をある程度網羅した上で、別途費用と時間を費やしてパネル調査などを行わず、しかもリアルタイムに効果を測定することができるのです。

    仮説の検証が可能になったことでPDCAの高速回転が可能に

    効果測定の指標としてのQRコードはどうでしょう?

    QRコードがポスティングの効果測定を可能にしたことはすでにお伝えしましたが、チラシの効果が可視化されることで、オンラインとオフラインを絶えず行き来している、“新しい行動習慣がインストールされたユーザー”にはどんな広告手法が効果的なのか?という命題に対して、仮説を立てて分析と検証を行うことが可能になりました。

    弊社が実際に行った実証実験の例を一つ見てみましょう。

    実証実験の例……
    居酒屋の『和民』の新業態『焼肉の和民』では認知度向上、新規顧客の確保を求めていました。そこで、弊社ラクスルでは、「複数チャネルを掛け合わせた際にチラシの底上げ効果があるのでは?」という仮説を立て、実証実験を行いました。
    実証実験の方法……
    複数チャネルの掛け合わせの効果を見るために①映画館で『焼き肉の和民』の動画広告(シネアド)を見た層②店舗沿線のポスティングのみの層の二つのグループで、配布したチラシ内のQRコードを用いて読み取り率の違いを検証しました。

    結果は、シネアドを用いてブランド認知を促してから配布した層が、ポスティングのみの層に比べて、2.8倍高い読み取り率となりました。予約フォームへのアクセスでは、映画館配布グループが沿線エリアの倍以上となり、来店意欲につながる傾向も判明しました。

    QRコードの登場と定着により、検証が難しかったオフラインメディアでの広告効果が明確になり、PDCAが高速で回せるようになったのです。

    個人情報保護に向かうオンラインマーケティングと広がるオンオフ統合マーケティングの可能性

    指名検索やQRコードは、オフライン広告からオンラインコンバージョンへユーザーを誘導する際の効果的な手法であると同時に、広告効果を計る優れた指標として活用できます。

    従来、広告効果の追求とそのリアルタイム分析は、インターネット上の「追跡型広告」や「リタゲーティング広告」の独壇場でした。しかし、個人情報、プライバシー保護の観点から、Cookie情報の取得を前提として広告主から積極的にユーザーにアプローチする、いわば訪問販売型の広告が成立しなくなっています。

    オフラインでアプローチしてオンラインでコンバージョンする。結果はオンライン上で可視化できるので分析や仮説の検証、結果を受けての改善、新しい施策立案も容易。

    指名検索とQRコードは、オンオフ統合マーケティングを実現するための有力な手法であり、優秀な指標といえるでしょう。

    ※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です