Startup Growth Partner Seminar #2 「ノバセル×スパイダープラス 急成長SaaS企業CMOが語るテレビCMグロース戦略」セミナーレポート

目次

    講師

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    デジタル化社会の発展によって、マーケティングのDXが以前にも増して求められるようになっています。

    あらゆる業界がデジタルシフトしていく時代において、新たなチャネルの開拓や潜在層への認知度向上は、マーケティング担当者にとっても常に念頭に置いておかなければなりません。

    運用型テレビCMサービスを提供するノバセルでは成長に伴走し、サポートをさせていただいた企業様をゲストに迎え「Startup Growth Partner Seminar」と題し、事例を元にしたセミナーを定期的に開催しています。

    去る2021年2月9日には、スパイダープラス株式会社CMOの三浦 慶介氏をお招きし、『成果を出すために必要なマーケティングのDXとは』をテーマにしたセミナーを実施。

    ノバセルの導入背景や、マーケティング戦略を立案する上でテレビ広告をどのように活用したのかについて、ノバセル事業本部長の田部とともにセッションを行いました。

    ラクスルが意識するマーケティング戦略のポイント

    ノバセルの導入背景や、マーケティング戦略を立案する上でテレビ広告をどのように活用したのかについて、ノバセル事業本部長の田部とともにセッションを行いました。

    ラクスルではマーケティング戦略を立てる上で、いかにビジネスインパクトに直結するかを重要視しています。

    田部正樹氏のプロフィール

    事業成長に直結するようなKPIを可視化し、生産性を高めるためには次のことが大切だと説明しました。

    「マーケティング施策の効果を可視化するためには、データ基盤がしっかりと整っていることが重要です。また、高速でPDCA回していくためにも、最適なオペレーション設計や組織体制の構築もしていかなければなりません。そして、何よりテレビCMだけで考えるのではなく、オンラインとオフラインを統合させたマーケティングを展開していくことが、事業をドライブさせるのに大切な要素になっています」

    5年でオーガニック検索数を20倍に増やしたラクスルのテレビCM

    ブランドの認知度向上や“ネット印刷ならラクスル”という状況を作り、オーガニックによる指名検索数を高めるために、ラクスルはテレビCMを定期的に実施。

    2015年から5年間で約57億円のマーケティング予算を投資したわけですが、テレビCMが事業成長に大きく寄与できた理由としては、「放映するエリアや番組、クリエイティブ単位でつぶさに効果検証し、成果の最大化が図れるようにチューニングしてきた」ことを挙げました。

    「従来のテレビCMではできない効果の可視化を、独自に開発した分析ツール『ノバセルアナリティクス』を活用することで、数値をリアルタイムで把握することができ、勝ち筋を見出していきました。デジタルマーケティングと同様に、高速でPDCAを回せるオペレーションを設計し、アクションの結果に基づいて適宜アジャストしていく運用型広告のように取り組めば、事業成長に直結するようなテレビCM施策を行えるわけです。こうしてラクスルでは、5年で認知度を60%向上させるとともに、オーガニック検索数も20倍に伸ばしたことで、獲得効率も約半分に改善することができました」

    田部は最後に、テレビCMを使ったマーケティングで大切になる考え方について話しました。

    「同じ1億をマーケティング施策に投資するにしても、テレビCMなのかWeb広告なのか。あるいは値引きキャンペーンなのか、営業なのかなど、適材適所で見極めていくことが求められる。ことテレビCMを実施する場合でも『課題解決型』か『ニーズ喚起型』かに分かれるので、事業全般におけるマーケティング戦略の中で、テレビCMをどのように捉え、実行していくかを判断することが大事です。

    しかし最も重要なのは、自社のサービスや商品がなぜ顧客に選ばれていて、狙いを定めるターゲットは誰なのかを明確にすること。そして、テレビCMのみで事業がグロースするわけではないことを肝に命じておき、緻密な効果検証に沿って勝ち筋を見つけていくことが、ひいてはビジネスインパクトに帰結するような成果を出せると考えています」

    デジタルによるリード獲得の限界を予見し、テレビCMを検討

    スパイダープラスは、建設業界の働き方改革を推進する業務効率化のアプリケーションを提供しています。

    デジタル化が遅れている建設現場では、図面整理や工事写真の整理、帳票出力などの業務をマンパワーによる管理で行なっており、アナログゆえの非効率さが課題となっています。

    そんななか、タブレットやスマートフォンを使い、業務の効率化や現場工事の進捗の可視化を行えるのがスパイダープラスの提供する現場管理アプリ。

    「建設業界のDX化に貢献するサービスとして、多くの企業に導入いただいております。生産性を高め、省力化に繋げられたことで、1日あたりの作業時間を約2.5時間も削減するなど、スパイダープラスを利用する企業からも好評を得ています」とCMOを務める三浦 慶介氏は説明します。

    そんなスパイダープラスがテレビCMを検討するようになったのは、「コロナ禍によってリアルでの顧客獲得接点の消失が要因」とし、三浦氏はこう述べました。

    「弊社はもともと、展示会に出展して新規のリード獲得をしていました。しかし、コロナ禍で展示会のようなリアルの顧客獲得接点の創出が難しくなったことで、デジタルでのマーケティングに注力するようになったのです。その結果、従来よりもリード獲得数は倍増したのですが、この先デジタルマーケティングによる刈り取りだけではいずれ限界が来ると判断し、テレビCMによる潜在層へのアプローチを検討しました」

    ノバセル一択だったのは、数値共有のしやすさやtoB領域の勝ち筋を知っていたから

    デジタル広告の拡張性や今後の事業成長を見据えると、マスを含めたマーケティングミックスの展開を考えるに至ったわけですが、具体的にテレビCMを検証するにあたっては「KPIやROIといった指標の計測が難しいことが課題だった」と三浦さんは振り返りました。

    「BtoBのSaaS事業では、企業規模の大小によってリードごとの価値が100倍以上も違ってきます。リード獲得し、導入に至るまで10日で済む場合もあれば、最大で180日もかかる場合もある。また、成約した企業内の利用ユーザー数も数年かけて増加することも多く、費用対効果も計測しづらいのが課題でした。しかもテレビCMの効果はWeb経由の問い合わせを増やすだけではなく、代理店がアポ打診したさいの商談化率を高めるといった複合的な効果があるため、テレビCMが寄与した成果を集計することも困難な状況だったわけです。代わりに代理店が営業して開拓したりするのが重要になりますが、それゆえWeb経由の問い合わせ以外の商談ルートも多くなり、テレビCMが寄与した成果を集計することも困難な状況でした。」

    こうした状況下でありながら、サービスの認知度向上や新規リード獲得に向けてテレビCMを敢行する意思決定をしたそうです。

    ノバセルを選んだ理由

    ただ、会社初のテレビCMだったこともあり、「『本当にCM効果があるのか』ということについて、社内に根拠を示さなければならなかった」と三浦氏は話しました。

    「会社としては大規模なCM自体初めてだったので、マーケティング部主導でテレビCM施策を動かすだけではなく、各部署との意思疎通が取れていないと十分な成果を出せないだろうと考えていました。営業やインサイドセールスなどのチームと密に連携し、テレビCMを実施した際のスピーディーな数値計測、効果検証できる体制が必須でした。こうした背景を鑑みて、実際にテレビCM施策を伴走しながらサポートしてくれるノバセルにお声がけさせてもらいました。というのも、ラクスルがBtoB領域におけるテレビCMで成果を上げた実績やノウハウを持っていって、弊社のサービスとの親和性も高いと判断したからです」

    テレビCMの効果検証が容易だったからこそ、大規模実施の判断を2週間で行えた

    スパイダープラスTVCMのワンカット

    2020年の11月より開始したテレビCMは、ローカルエリアごとに複数のクリエイティブを展開し、開始直後の反応率を中心に見ていたと三浦氏は言います。

    その後、初速1週間程度で「テレビCMの効果を得るのに、十分な反応がある」と判断できたそうです。

    「ノバセルアナリティクスを活用し、スムーズな数値計測が行えたことで、社内共有するときにも大いに役立ちました。もちろん、リードは増加するものの、すぐには導入に至るサービスではないので、明確な効果としては判断できない状態でしたが、CMによるWebサイトへの流入セッション数を見てもCM自体に効果があることは十分に確認ができたため、経営陣とのディスカッションでもテレビCMの有用性を見いだすことができたのです。

    12月上旬からネクストアクションを議論し、12月中旬ごろには関東圏でのテレビCMを実施する運びとなったのですが、わずか2週間で大規模実施の意思決定ができたのはノバセルを導入して一番良かったことだと思っています。テレビCMの効果検証ができるのはもちろん、BtoB領域におけるテレビCMの勝ち筋を把握しているノバセルだからこそ、事業成長に紐付けて運用できるのが強みだと考えていて、継続的に実施していけば必ずROIがついてくると捉えています」

    また、三浦氏はテレビCMのクリエイティブを制作する上で心がけたことについて、次のように話しました。

    「サービスの強みを議論したとき、機能性やスペックに寄ったものではなく、ユーザーが真にサービスを気に入ってくれている“生の声”を届けた方が伝わると考えました。タレントや芸能人を起用するのではなく、ユーザーであるお客様自身にインタビューして、スパイダープラスを本当に重宝していることを話してもらった方が説得力があると思ったのです。工夫したのは、放映する地域ごとに、その地域の建設業の意見を代弁できるようなユーザー企業に出演依頼をさせていただいたこと。さらに、放映開始後のクリエイティブ自体の差し替えも、ユーザー企業に出てもらっている関係上、即座には変更できない手前、どの時間帯にどんなクリエイティブが出ていれば、効果が出やすいかを事前に仮説を立ててウォッチしていました」

    運用型のテレビCMを活用し、省力化に繋げることでマーケティングのDXを推進

    ほかにも、テレビCMを放映するエリアとそうでないエリアの検索流入数を追ったり、インサイドセールスの架電時に「テレビCMを見たかどうか」のヒアリングを加えたりと、定性・定量双方の分析も行っていたとのことです。

    最後に三浦氏は、ノバセルを通じてテレビCMを実施したことで得られた成果について話しました。

    「ノバセルを導入したことで、テレビCMを圧倒的な速度で検証することが可能になったこと。また、CM終了を待たずに随時、次のアクションを判断できたことが大きな成果です。またそれに伴って、経営陣の意思決定速度が向上し、事業成長に寄与するマーケティング戦略を迅速に立案できるようになったのも大きな収穫でした。さらに、テレビCM施策を実行する際も、分析ツールを活用することで検証の省力化ができ、生産性も高められています。

    私自身、マーケティングのDXは『顧客に向き合う時間以外の時間を極小化』することだと考えています。成果の分析のためにデータを集めたり、手を動かしている時間は顧客にとってはあまり関係ないこと。最終的にいかに顧客にとってより良いもの、良いサービスを届けるかが重要であり、そのために顧客と向き合ってサービスを研ぎ澄ませる時間を増やすことが、マーケティングのDXで求められるのではないでしょうか」